二十歳までのカウント

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「なんでいきなりそんなこと頼んでくるんだよ。二十歳の同窓会は佐々木のグループが言い出したんじゃねぇか。俺にふるなよ。勝手すぎるだろ」  今まではすっかり忘れていたが、カズマの言葉で思い出した。確かに小学校6年生の頃、そんな話で盛り上がっていた。成人式前にみんなで同窓会をしようと。でも盛り上がっていたのは佐々木を中心としたグループで、シンは離れたところから見ている側だった。 「あ~、なんか大学とかバイトとかで忙しくて、時間がないとか…………」  そこまで言って、カズマはまずいと思った。地雷を踏んでしまった。シンの表情がみるみる不機嫌になってゆく。 「そんなの知るかよ!こっちは朝から晩まで働いてるんだよ!」  吐き捨てるように言うと、シンはメモ用紙をカズマに突き返し、さっさと歩き出してしまった。カズマは慌ててそのあとを追う。  シンは大学受験に失敗していた。浪人するような余裕はシンの家庭にはなく、進学は諦めざるを得なかった。それは、シンの人生にとってはじめての大きな挫折で、それを彼はいまだに引きずっていた。  大学へ通う友人に会うたびに、本当なら自分もとつい思ってしまう。  思い描いていたものとまるで違う人生。なにもかもが同じに見えて、繰り返しの日々がおもしろくなかった。 「なぁ、とりあえずメモだけでも受け取ってくれよ。俺の頼みだと思って」  カズマがそう言っても、シンは歩む速度を緩めない。  その時だった、メール着信音が鳴り響いたのは。
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