二十歳までのカウント

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「あった!これだよ、これ!!」  コンビニでわいわい茶のペットボトル片手に、カズマが叫んだ。 「本当か!!」  がらにもなく興奮気味のシンだが、それも無理はない。もうこのコンビニが5件目なのだ。姉に付き合わされてこの蛙ストラップを探し回ったというカズマの情報をもとに、二人はあちこちの店をまわった。まだスーパーには出回っていないというので、ターゲットをコンビニにしぼり、駅前などの立地のいい店は品薄だというので、辺鄙な場所にある店を選んで。二人とも車は持っていないので自転車で店をまわって、やっと見つけた紫水玉の蛙だった。 「はぁ~、良かった。もう見つからないかと思った」  コンビニを出て安堵するシンの肩にカズマが腕をのせた。 「俺の情報網のおかげだからな。感謝しろよ」 「あぁ、ありがとうな」  いつものシンなら「なにが情報網だ、姉貴にパシリにされただけだろ」とか「だいたいお前が探そうなんて言うから」とか文句の一つや二つ言うところだが、今は妙な達成感のせいか、素直に感謝していた。 「もうすぐ昼だし、帰るか」 「彼女ができたら教えろよ」 「いや、彼女ができるって決まってないから」  そんな会話をしながら自転車にまたがった時、再びシンのメール着信音が鳴った。  シンは一度カズマの顔を見た後、携帯を取り出し、メールを確認する。カズマも画面を覗きこむ。送信元はやはりシン自身で、送信日は半年後。そこに書かれていたのは………… 『黒ボーダー 蛙 買う』  そのメールに、二人は一瞬固まった。 「なんで後から送るんだよ!一度に送れよ!!」 「いや、1回10文字までだから」 「それでも、続けて送ればいいだろ!」 「半年後からだし、タイムラグがあるんじゃないか?」  興奮するシンに対し、なぜかカズマは冷静だった。 「たしか、黒ボーダー、2件目のコンビニにあったけど」  こんなところでカズマは意外な記憶力のよさを発揮した。 「2件目って、ここから1番遠い店かよ…………」 「どうする?」  少しどうてもよくなってきた感じのカズマに、一瞬悩んだシンだったが、荒々しく携帯をしまうとペダルに足をかけた。 「ここまで来たんだ!行くしかないだろ!」
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