8.恋の予感の走る瞬間!

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亜子は、夏休み明けから徐々に藪野さんたちと距離を取り始めた。 まず、当り障りのない理由で調理同好会をやめた。 ああ見えて、ほんとに不器用な子なのだ。 あのルックスにおしゃれも大好きな亜子はどうしても人の目をひいてしまい、目立ちたい子ばかりが寄ってくる。 亜子は真剣に、自分と気が合い、さらに彼女の内面も好きになってくれる友だちを求めている。 なのに実はかなりの人見知りで、自分からなかなか声がかけられない。 あたしと距離を取り始めた中学くらいから、亜子の外見目当ての派手な子にばかり声をかけられ、自分の希望とは逆方向に流され続け、今に至る。 本人は、今度こそがんばる! と宣言している。  クラスメイトの中に調理同好会仲間がいなかったのが幸いで、そこでのつながりを強化したいと考えているらしい。 藪野さんたちに変な逆恨みをされちゃかなわないと思って、今は亜子に、あたしが文化祭で幽霊役をやったズルのくじ引きのことは黙っている。 あの子のことだ。藪野さんのことまでグーで殴りかねない。
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