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「もう25になるのかあ~。」
柚木ノブ、20代の誕生日はなかなか複雑である。
25歳ともなると、10代のころに思い描き、待ち焦がれた大人の階段を登りきることより。
やがてアラサーになることの不安の方が勝ってきてしまうのである。
いやいや、それより上の人間からしたら、そこが一番楽しいところだぞっと、言われて羨ましがられるであろう。
更に、彼の右側には、常に寄り添う一人の女性。
二つ年下の前田琴音、ロングのやや脱色された髪に色白で細身の長身の女性だ。
二人は今日、ノブの誕生日のお祝いにと、駅近のイタリアンレストランにランチとケーキを食べにいき、その後琴音の提案により似合う服を買いに行こうということになっていた。
今日は車を家に置いて。
軽くスパークリングワインでもたしなめながら、美味しい料理で癒されながらゆっくりする。
締めには琴音の用意した自家製のケーキが店から出される仕組みになっていた。
ノブ「あー、美味かった!なかなかの腕前だね、琴音!なんかさ?最近、俺たちダメなんかなーとかちょっと思ってたわけよ。しばらく会ってなかったし、ラインとかも一行ずつ?みたいな?なんだかなー、まさかこんなサプライズ用意してるとはなぁ!」
琴音「喜んでくれたら嬉しいけど、なにその弱気発言。そんなのノブらしくなくない?」
ノブはやや自信なさ気な真剣な顔になり、
ノブ「いや、だってさ。お前が俺の側からいなくなったら…俺、ダメになっちまうからさ。」
以前はあまりそんなことは口に出さなかったノブからそんな言葉が出るのも無理はなかった。
少し前の話だが、しばらく二人が会わなくなった、いや、会えなくなったきっかけがあった。
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