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漆黒に塗られた玄関?とは裏腹に、まるで寿司屋?のような明るい、それでいて暖かい木の明るさが店内のベースである。
木目の風合いは残しながら、漆なのかニスなのかコーティングをしっかりしてあり、カウンター台上は明るく、壁や足元はまた、入り口と同じ漆黒の黒である。
所々点々と小さなライトが付いているので黒基調だが、ちょうど良い暗さ。といった感じだ。
壁にはものを飾る窪みがあり、真っ白なライトが照らされている。
その光の中心には、小さな人の形をした重厚な金属製のフィギュアが置いてあり、異様な光を放っていてよく見えない。
ふう、昼間にこんなとこ、来たことないぜ?ノブはやや焦りながら琴音をチラ見し、先陣を切る。
ノブ「マスター!焼酎水割り!あと、それにあったツマミをお任せで!」
ノブはあまり飲めない。
今日は飲めないのにスパークリングワインを少し飲んだせいか、テンションがあがり、普段とは違う自分で何もかもが楽しかった。
たまにゃこんなんもいいんじゃねーの?
とも思った。
すると、店の店員?マスター?から思いもよらぬ言葉が大きな声で発せられた。
マスター?「おいおいお客さん!ここには酒はないし…それと…まだ説明してないぜ?いい?いい?説明して。いい?」
昭和の時代であればモテてたのにな。ノブはマスターの髪型と顔を評価すると、聞くよ?の表情で迎え撃った。
マスター「お客さん!まず、メニューを見てくれ!そしたら説明に入る!」.
二人は、クルッと斜めに首をひねり、壁に筆で書かれた文字を見てハッとした顔をする。
揃えてこう言う。
「これだけ!?」
壁に書かれた文字。
「怖いもん。」
大きく筆で殴られたそれは、拒否することなど出来ない何かを感じる。
マスターが、目を見開きながら、繰り返し二人を交互に見ながら言う。
「見た?見た?見た?見た?じゃあ説明する!ここはぁ!怖いもん屋!だからぁ!
怖いもんがぁ!めにゅう!」
は、はぁ…。
二人は一斉に引く。何をってその対応、そしてこの店の不思議さに引く。
若者の自由を歌ったかのように激しく訴えかけられたそれは、単純且つ奥深いものを感じる。
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