プロローグ

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 辰巳屋  小見は辰巳屋の様子を表で見張っていた時、大岡の命で源治達がやって来て家の中へ入って行くのが見えた。そして暫くすると小見は家の中から凄まじい殺気を感じた。 「これは!!」 中では又五郎が闇鬼としての本性を現していた。二人のことが気にかかるも吉宗の言伝で手を出すなと言われ迂闊に動くことが出来ない状況に唇を噛み締める小見。ところがすぐに事態は急変する。 ドン!! 突然辰巳屋の屋根を突き破るような音が聞こえてきた。小見は音がした方へ目を凝らすと夜の暗闇の中でふらつく人影を見つけた。夜の暗闇のせいで小見からははっきりと容姿を捉えることが出来なかったが、それは辰巳屋の屋根裏に潜んでいた風魔だった。 (あれは・・・) 小見が見つけた人影は息を切らしながら屋根から屋根へと飛び移りその場を離れる。小見はすぐにその影の後を追った。時折ふらつく様子が伺えたがかなりの早さで屋根づたいに逃げていく。その時小見は前に吉宗より聞いた風魔の話を思い出した。 (あの身のこなしは忍び・・・もしや風魔か)
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