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1年の月日が経った。研究は第二段階へと発展した。
研究所職員の10数名だけではなく、その研究所職員に付随する人間のデータをも偽の名目で生体データとして取り込んだ。
流石は政府のお役所仕事だ。お墨付きがあれば被験者は勝手にやってくる。
男は改めて自分の仕事の偉大さを知った。誇りに思うと同時に、使命感が胸の奥にこみ上げる。
未来予測の精度は更に深まる。
男は月に数度、気まぐれで配給をよこすように研究所に電話をすることがあった。
2044年 12月3日に男は配給の電話を入れた。
それを予言したのが2週間前にプリントアウトした紙。
その紙にはしっかりと12月3日に自分が配給に呼ぶ事が書いてあった。
行動すらも予言する、『未来エミュレーション』の完成まであと少し。
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