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遂に不可思議なことが起こり始めたのは、初代『未来メール』が届いていてから3年の月日が経った頃だ。
男が『何月何日』に何をするのかはっきりとメールから送られてくるようになった。
しかも、その一つ一つが実に面白い。
『君は、モニターの前で新商品のコーヒーを飲む』
『君は、届いたボーナスの少なさにイライラして友人に電話を入れる』
『君は、失われつつある研究心を隠し切れなくなってくる』
『君は、3年ぶりに訪れた研究員に簡素なインスタントカレーを作って出す』
直近3日間の行動を予言しているのは1か月も前のこと。
男の日課は、自分の行動が終わってから3か月前に発行したメールを見ることに切り替わっていた。
改めて未来エミュレーションの精密さに驚かされる。
そして遂に、対象者が他人となる実験も行われた。
被験者はプロジェクト研究員とその家族。
男は毎日未来メールを読み、そして被験者達の行動とすり合わせる。
そうしてまた3年の月日が経った。
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