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「ただいま…」
玄関で履きなれないパンプスを脱ぐと、リビングから声がした。母の声だ。
「…そうなのよ。まったくあの子ったら、一年も経たないうちに、相談もなく勝手に辞めちゃって……、今、仕事さがしているみたいだけどどこまで真面目に探しているのか……、え?そうなの?ちょっと紹介してもらいない?」
誰かと電話で話しているようだ。相手はいつも違うが、話す内容はいつも同じだ。一人娘が勝手に仕事を辞めてきたことに対する憤りだ。
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