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「村が無くなって、どれくらい住んでるんだ?」
「んっと…」
バサッ!!
その会話を妨げるように羽音が聞こえ、崖の下から2人のいる場所に急に白い影が現れる。
「!?
まずい!キミ!逃げろ!!!」
テールはそれが何なのかはわからなかったが、嫌な "何か" なのは肌で感じた。
その禍々しい獣気を纏った生物は、白い体毛の生えた大きな羽を広げ崖下から現れる。
羽を広げると推定4メートルの大きさは2人を包み込む様に影を落とし、その影は白髪の少年に向かって飛びかかった。
テールは反射的に右手を前に掲げ、神放弾と言う名の光の球体を少年を避け魔物に放っていた。
それは幾分か小さく、威力を抑え早さを重視して放たれる。
そのテールの行動は早かった。
そして正しい判断だと言える。
魔物を発見し、認識してからの行動では遅かったであろう。
しかしテールは認識より先に、少年を守るべく反射的に対策を放ったのだ。
だが、その光の球体は意外な形で目標に届く事なく阻まれる事になる。
「神纏!ぬおりゃ!!」
バチィッ!!
ボゴゥッ!バキバキバキバキバキ!!
少年は体に光を纏うと、自分の右側を通過して魔物に向かおうとしている光の球体を、腰を少し右後ろに引き、少しずり下げた右足を振り上げ斜め上へ蹴りあげる。
光の球体は爆発する事なくはじかれ、一本の木に向かい接触すると同時に爆発を起こす。
木は縦に割れ、半分だけ音を立てユックリと倒れた。
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