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深い深い森の中の湖から、1人の少年がザバリと岸へ上がる。
一糸纏わぬその姿は、背中の中程にまで伸びた真っ白な髪で、体中小さな傷痕があり、無駄がほとんど無い引き締まった体をしている。
小さな傷痕の中にひときわ目立つ大きな傷痕。
胸の中心に直径15cm程の丸に近い形、ボコボコと肉が小さく寄り固まり、皮が無理矢理引っ張られ塞がれた様なその傷は、背中にも同様にあり、何かが貫通したように思わせる。
少年の手には何匹かの魚が握られていた。
その魚を岸に放り投げると、魚はその場でピチピチと水しぶきをあげる。
白い何かの毛皮で作られたと思われる、服というには何か物足りないモノに袖を通し、また放り投げた魚を手に持つと…
「んだば いぐが!!ダバダバ!!」
「クルルルル!」
少年を待っていたかのように、木陰から羽の生えたモコモコの白い生物が現れる。
そして少年とモコモコの生物は走り去って行った。
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