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魔物は光の球体が当たった胸の辺りから煙りこそ上がっているものの、そこまでのダメージは負っておらず、ゆっくりと立ち上がり
グルルルルル…
イラついた様に喉を鳴らす。
「だいぶ毛が かったいねぇ~」
頭をポリポリと人差し指で掻きながらそう言う。
魔物のビッシリと生えた体毛は防御の役割も兼ねている、青年の攻撃は威力は申し分無いものの、思ったよりもダメージを受けていなかった。
青年は腰にぶら下げた小さなナイフを右手に構える。
右手はナイフごと光に包まれる。
「風神纏…風装武射」
そう唱えるとナイフに光が集まり、その周りに風が集まり出す。
魔物は性懲りも無く、また地面を強く蹴り飛びかかる。
青年はナイフを持った右手を左から右に振り、ナイフを魔物に向かって投げる。
魔物はナイフを認識したものの、問題ないと判断したのか何も気にせず避ける事も無かったが、風を纏ったナイフは魔物の左の脇腹辺りを貫通する。
「ゴオオォォォッ!」
予想外の事態だったのか、咆哮を上げながら大勢を崩し、その場に左手と右膝を地面につき動きを一瞬止める。
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