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――試運転により、一人の女性操縦士が船内に乗っていた。しかし通常の船と違うのは、此が人類初の潜水型船と言う事。
小回りがよく利く、そしてまるでその外見はラジコンの様。だが人が四人程は乗れる超小型と言っても過言は無いだろう、内部はカラオケボックスに近い。
海底の暑さに耐えれる様、中には特殊なクーラーが一台備え付けられていた。窓からは立体的に海水が恰も入り込む様な感覚がし、細かな設計は完全な成功を遂げる。
リアル状に、だが窓から見える景色は本物の海底。この凄味を伝えるのにはとても、言葉だけでは表し難い。
分かるのは、今まさに彼女は緊迫する空気の最中に居ると言う事だけ。周りは海上保安部隊が待機し、マスコミも数多くその塀に囲また場所に集まっている。
「此方異常有りません。試運転を続行します」
茶色の髪を後ろに、シュシュで括る女性が報告をした。彼女こそがこの人類初の潜水型船の操縦士で、これから行うある行動に半ば不安を隠せない。
まだ、海上に居たまま狼狽えるも直ぐ様に船を動かさす。とは言っても殆どが全自動、脳内で念じただけで船内は其れを感知して船体を沈め出した。
海上を覆う塀は、一応安全面を配慮しまさかの事態に備える為にと設置されたもの。だが他に理由があった、其は船が鈍い音を立てた瞬間に解る。
有ろう事か、彼女は船体を壁にわざと駒の様に衝突させて行く。しかしびくともしない頑丈な構造になっている為、全く破損や傷一つさえも付かない。
――テレビに映し出される光景に少女は目を疑った。
『今、ご覧になったでしょうか。まさに人類初となる潜水型船は強度を遥かに上回り、まさしくその外見からは想像さえも付きません!』
わざわざ船体をぶつける、その行動は異様としか言い様が無い。私はテレビ画面に報道されていたニュースに、恐らくは面食らった顔をしていると思う。
決して狂人の密着取材でさ無い、これは普通に何処かの開発業による新型の船の発表なのだ。
「凄い、何で壊れないの?」
私は、翡翠涼夏(ヒスイリョウカ)
宝石みたいに、綺麗で翡翠とは清らかなと意味があり。心優しい子になる様にと、両親が付けてくれた名前。
結構歯痒いが、周りではこの宝石みたいな名のお陰なのか皆が親しんでくれている。因みに私の家族構成は上に兄と両親と自分、仲の良い四人家族だ。
と、周りは言っているが実際にはどうなのだろう。
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