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カーブミラーのある通学路、其所は普段中学生や小学生が通る。アスファルトの地面を踏み締め、涼夏はふと空を見上げて手で太陽を視界から遮った。
暑い、汗が額から流れ出て喉は渇きを訴え出す、水分を取ろうと目の前にあった自販機にお金を入れ。いろばすを買い、キャップを回し開ける。
気温は、三十度の初夏。
七月六日、午前6時33分。この日は早朝と言うのに生暖かい風が、南向きに吹き付けていた。
晴天に輝く、眩しい太陽の日差しは絶好の散歩日和なのだが。それにしても暑い、皮膚が焼け付けてしまいそうだ。
「暑いっ、とりあえず急がなきゃ……」
(響(キョウ)はもう駅前に到着した頃かな、水分補給は必須ね)
等と、考えながら私は早足にと駅前通りに辿り着くなり改札口の所で立ち止まる。
先に切符を買って、彼がまだ到着していない事に気付く。周囲を見渡せば、人混みがごった返し通勤客があとを絶たない位に溢れていた。
ぶつからない様、隙間から通り抜けて一旦駅から出ると。響が走って来たのか息を切らし、手にお菓子の袋を持って涼夏に近付いて来る。
遠足気分なのか、彼女は半ば呆れて肩を竦めながらもそう言ったお茶目な部分に思わずくすりと笑みを溢す。
「ごめん、待ったか?」
「ううん、今来たわ。所で凄いお菓子の量ね……」
ポテチに、グリゴの塩キャラメル。ガムに殆ど袋の中身はお菓子、後は飲み物のいろばすが入っていた。
此方は林檎味なのか、パッケージにある人気キャラクターの鼠とコラボレーションしている。
そんな彼に対し、行き交う人々は一瞬だけ響をちら見すると笑いを堪えながら駆けて行く。皆が視たら恐らくは、呆れてしまうだろう。
涼夏は苦笑を浮かべ、待ち合わせていた少年と共に駅へと入った。改札口でスイメのパスをタッチし、響は電車のホームにと向かって行く。
階段を下り、電光掲示板の文字が流れて行くのを視やっては私の気分は向上していた。
軈て、少し時間が経つのを待つ間に響からガムを差し出され涼夏は嬉々としながらに其れを受け取る。
待ち時間が、長く感じた。
「ねえ、梨味ってもしかして。あのゆるキャラクターのやつ?」
「さあな、とりあえず旨いかが問題…だ…」
ガムを口に入れた直後に、彼が顔をしかめながら梨味の其れを視て眉を潜め出す。
余程不味かったのだろう、響は感情が顔に出やすい所がある。
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