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“トモキと別れないでください”
LINEを打っている最中にわけのわからないメールが届いた。差出人は海野夕紀(ウミノユキ)。私。悪戯メールだと思ったけれど、トモキというのは私の彼氏。しかも今まさに別れ話のLINEを打っている最中だったわけで、タイムリー過ぎて気になった。
“ユキ:もう終わりにし――…”
トモキが送ってきたのかと思ったけれど、やつはこんな手の込んだことができる男ではない。
というか私が別れようとしていることにすら気づいていないだろう。メールの送信日時は2045年。30年後の未来。
30年後というと私は62歳。そんな未来からメールが届くなんて。
「アホらし」
私は一蹴して、LINEを開いて続きを入力した。
“ユキ:もう終わりにしよう。さよなら。今までありがとう”
そのまま送信して既読がついたのを確認してトモキをブロックした。これで終わり。
これで幸せになれる。そう確信していた。
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