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ドアの開く音で現実に引き戻された。先生かと思ったが違った。ドアの影から覗いたのは小さな顔。2つ結びの髪。可愛い可愛い女の子。
「れみちゃん」
私がおいでと手招きすると、ぱあっと笑ったれみがドアをガラガラと勢いよく開けて私に駆け寄ってきた。
「おばあちゃー――…」
「れみ!」
何も無い場所でいきなりれみが転んだ。ゴチンと頭を打った音。彼女が後ろ手に持っていた折り紙のツルがバサバサと床に散らばる。れみはむくっと起き上がり声を上げた。
「うえ、うう、あああ。あーああああーああああ」
「あーあーあ。よしよし」
私は重い身体をベッドから起こして顔をぐしゃぐしゃに歪ませて泣き出したれみを抱き上げた。
「痛かったね。びっくりした?」
コクコクとれみが頷く。床にバラまかれた折りヅルを一羽拾って私は言った。
「このツルよく折れてるねー。すごいねー」
れみの涙が止まった。笑っている。可愛い孫。私のたった1人の孫娘。
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