第1章

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宛先間違いだろうか? 普通に考えたらそうだろう。 そうでなければ、大量送信の手の込んだアンケートか何か…。 だが、気味が悪いのは、送信者のアドレスが私と全く同じだったことだ。そんなこと、あり得るのか?私が私に送っている? 私はすぐに送信ボックスを確認したが、もちろん私が送信したという形跡はない。何だろう、これは。でも真剣な感じが文面から伝わる。 最近私は就職活動で忙しく、友達との約束を疎かにしがちだった。周りがほぼ内定を決めた中、私は寒い季節になった今も行き先が決まらない。焦りと不安できっと余裕のない顔をしていることだろう。そのせいで関係がぎくしゃくしてしまった人もいる。 でも仕方がないんだと言い聞かせ、自分の意識からできるだけ遠ざけるように過ごしている。でもこれではよくない。本当に不本意な日々だった。。 気味の悪さを覚えながらも、返事をしたくなった。このメールを寄越した人は、特殊な状況におかれてしまった友達とまっすぐ向き合っていくことをためらっていると感じた。でも、その人を思っているからこそ、本当にどうしていいかわからずにいる気がした。
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