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まえがき
まえがき
今から約23年ほど前。
世の中にはNTTが運営する「伝言ダイヤル」
というものがあった。
携帯が普及していない頃、外出先で連絡を取りたい
と思った時にメッセージのやり取りが出来るように
とNTTが始めたサービス。
仲間内で共通の番号(6桁から10桁)と暗証番号を
決め、自宅や公衆電話からこのセンターにアクセス
して決めた番号と暗証番号をボタンで押して入力
するとメッセージを録音したり再生出来るという
ものだった。
当然ながら、これらは待ち合わせ場所での連絡や
親から子供への連絡などを想定して作られたもの。
当時はテレフォンクラブ(テレクラ)がまだ世に
出てない時期で、男女が出会う方法が今ほどは
なかった時代。
このサービスは瞬く間に本来の目的とは異なる
使われ方をしていた。
共通の番号を決めて使う本来の使い方の代わりに
「オープンダイヤル」と言われる番号が使われ、
男女問わずにこの番号を押して自分の自宅の電話
番号を録音し、掛かってくる電話を待っていた。
オープンダイヤルとは?
誰とも申し合わせ出来る訳ではないので、みんな
それぞれに想像力を働かせ、6桁から10桁の
ボックス番号を共有していた。4桁の番号を2回
繰り返したり、ゾロ目も人気だった。
例えばボックス番号12345678、暗証番号1234
など、誰も教えたわけじゃないのに無い頭をフルに
回転させこれらの番号を想像し共有していたのだ。
面白かったのは語呂合わせ系で、
オナニートリプル
と呼ばれる番号
(ボックス番号07210721、暗証番号0721)
イクイクトリプル
(ボックス番号19191919、暗証番号1919)
いい女トリプル
(ボックス番号11071107、暗証番号1107)
など、本当にみんな想像力を働かせて良く考えたな
と思う。これらの伝言は吹き込んでから8時間で
自動的に消去されるから、8時間は皆メッセージを
聞いてくれるのだ。
10件吹き込まれるとボックスがいっぱいになって
吹き込めなくなるので、最も古いメッセージが消え
るのを待ってから吹き込むのがい争奪戦になってた。
いつもメッセージは10件めいっぱいだった。
今からお送りするお話は、そんな伝言ダイヤルに
興味を持った1人の男子高校生の話である。
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