想定外

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僕は握り締めた手を緩めることなく、最後まで動かし続けた。勢い良く精子が発射され、目の前のテーブルはおろか、先にあるTV画面まで飛び散り、ドクドクと果てた。我を忘れて無我夢中に快感の中に僕はいた。だが次の瞬間、一気に現実に引き戻された。「ハッハッハッ!!!」お姉さんが爆笑しだした。一瞬何が起こったのかと思った。「ねぇ、何射精してんの?ばっかじゃないの?」 「これだからさぁ、男って嫌だよね。ほんと気持ち悪い!!」 「もう二度と遊びにこないでよ、クソガキ。」僕は全く状況が読み込めていなかった。何となく理解したのは、さっきまでエロモードだったこの目の前のお姉さんは今は別人のようであること。そして情けない姿で射精したままの僕は馬鹿にされる対象で、指までさされて笑われていた。逃げたかった。とにかくその場から逃げたかった。辱めを受けた仕打ちとしては心に負った傷があまりにも痛く、アソコを拭くことも忘れて無我夢中でパンツを上げ、急いで制服を穿いてカバンを持って飛び出すように、お姉さんの部屋を出た。コンビニに停めてあった自転車を急いで出し、最初に電話した公園までダッシュした。公園に着いてベンチに座り、ようやく自分が今まで何をしてたのか振り返りながら、なぜあのお姉さんは豹変したのかをずっと考えた。・・全く分からない。きっとそういう性癖というか精神の持ち主で、男が騙されて言いなりになる姿を楽しむのが興奮するのだろうか。人間なんて十人十色、そういう人がいても不思議ではない。大人の女性って、優しかったりエロかったりするだけじゃないんだ、こういう人も中にはいるんだ、と初めて感じた日だった。もうこのお姉さんの事は忘れよう。嫌なトラウマを一生引きずるのも怖い。そう思った。ベンチに座ってると老人男性がこっちに向かって歩いてきた。 じっとこっちを見ている。なんだ、今度はジイサンに何かされるのか?「おい、いい年して何かこぼしとるぞ」 「・・・あっ!」股間にさっき僕が射精した精子が大量に付いていたのだ。 慌てていて拭く事もせずに着替えたからだろう。カバンからタオルを出して水飲み場で濡らし、一生懸命そのシミを擦った。 何だか悔しくてもう半分泣いていた。伝言ダイヤルってこんな変な人の集まりなのか。
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