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「初めてなんで何話していいか分らなくて、興味本位で掛けてみたんですが、本当に話せるんですね・・」僕は本当に何を言ってるんだろう、そんな事言ったら切られるだろうと思うようなどうでも良い事をブツブツと言っていた。その電話口で、彼女は泣いていた。そんな状況にも気づかず、自分の事を話してしまった。バカすぎる。「・・泣いてるんですか?」
「・・うん。ちょっとね。でも大丈夫だよ。もういっぱい泣いたから」
「そんな・・やっぱり彼が忘れられないんですか?」
「・・忘れたいよ。でも、一人で部屋にいると寂しくて涙出てくるんだ。」普通に考えて、彼が忘れられないんですか?なんて正直に聞く奴は大バカだと思うが、切られないように話題を繋げようと無い頭を使って精一杯切り出した言葉がこれだった。鼻をすする音が段々大きくなってきた。「一人でいると、きっと気持ち変わらないでしょ?」
「まぁそうだけど・・」
「あの、もし僕で良かったら愚痴でも何でも聞きますよ!公園とかで。」
「公園・・?どこにいるの。今」
「**公園です。そこの公衆電話から電話してます」
「あ、わかるよ。あたしの家、そこから近いから」
「そうなんですか。それじゃ公園出てきませんか?」
「え・・その前に声若いけどいくつなの?」
「僕、いま高1です」
「そっか。あたしは19。大学生だよ」
「年下のガキじゃ、話聞いても意味ないですか・・・」
「・・そんな事ないけど、泣いた顔で公園は嫌だな・・」
「そうですよね・・」こんな会話が続いた。今の今まで泣いてた人を公園に呼び出すってどういう神経してたのか今では思い出せない。でも必死に電話の前で泣くこの女性をどうにかしなくちゃと思っていたのは確かだった。「ねぇ、うちに来てくれないかな・・」一瞬耳を疑った。まだ話して10分も経過してない高校生を家に呼ぶのか。「でも、いいんですか?僕なんかが家に行っても」
「うん・・・年上だったら怖いけど、4歳も年下だからいいよ」
「わかりました」
「・・公園からすぐだから。公園の先にあるコンビニの横。」
「あ、わかります!」
「そこに着いたら自転車のベル鳴らして。聞こえるはずだから・・」
「はい!」
「外には出て行けないから、窓から顔出すね」
「わかりました」
「じゃ、後でね」
「急いで行きます!」
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