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…季節が巡り春になった。
これからの世の中、女も学がなくてはならないと、お父様に大学進学を勧められた姉さんは、良家の子女が、沢山通っている私立の女子大へ進んだ。
同じ頃、雨宮さんとの縁談も、本格的に進みはじめていた。
二人が成人したら、結婚するということになったらしくて、しばらくは、婚約者として、お互いを知る期間にすればいいと、親同士は決めていた。
だから、誰も疑わなかった。
姉さんと雨宮さんが、連れだって出掛けるのは、婚約する仲だからと…。でも、本当は、違っていた。
二人は、共犯。二人で、みんなを騙していたなんて、誰が、考えるの?
あの日、姉さんが、いなくなって、初めてみんなが、気が付いたんだ。あれが、カモフラージュだったんだと。
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