手紙

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「そこから後のことは、詳しく話さなくてもいいな。お前らも知ってることだし…。 俺と千秋は、紆余曲折の後、結ばれた。光輝や彩華が生まれて、家族もできて、今じゃ、俺達が祖父さん祖母さんだ。 結婚してから、何度も、二人で話した。 子供が生まれたら、自分達みたいな寂しい子供時代にならないように、愛情を目一杯注ごう。 もしも、子供達が、苦しいときに、自分達が側にいないようなことになっても、安心して任せることの出来る、手を差し伸べてくれる、信頼出来る仲間を作ろう。 そして、“家”とか“血筋”なんてものに、縛られない。自由な生き方を、させてあげようってな。」 「俺達、すごく恵まれてるんだな。…生き方ってうのかな。それは、結構、自由にやらせてもらってると思うんだ。将来に向かってのいろんな選択だって、まずは、本人の意志や目標聞いた上で、アドバイスしてくれてたでしょ。 それに、附随したことで言えば、金銭的な不自由も、生まれてこのかた、一度もしたことないもんな。俺達。」 「それくらいしか、してやれないからな。」 俺は、そこまで話して、ちょっと深呼吸した。 「ここからする話は、雨宮さんに、聞くまで、俺も知らなかった話だ。 雨宮さんは、俺の親父の親友であり、母さんの幼馴染みであったはずなのに、俺が、知らなかったのには、理由があった。 国枝から、俺に関わることを、禁じられていたからなんだ…。」 「なんで?会っちゃいけない理由なんて、なさそうに思うけど?」 「理由は、いくつかあったんだろうが、一番大きいのは、雨宮さんが、二人の人生に関わりすぎてることだったと俺は、思ってる。」 俺は、もう一度、深呼吸してから、静かに言った。 「雨宮さんがいたことで、親父と母さんが、結ばれた。そして、俺が、生まれた。彼は、二人を結び付けた、ある意味キューピットだ。 そして、それが、後に、彼を追い詰めることになった。 二人が、亡くなった事故の時、彼は、その場にいて、命を助けられなかったことを、ずっと後悔していた。自分を責め続けていたんだ…。」
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