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折りしも時は、クリスマスイブの朝だった。
とりたてて、やることもなかった俺は、自分の部屋でぼんやりしていて。
「どーせ、クリスマスイブだろうと何だろうと、アンディには逢えないんだしぃ、クリスマスプレゼントを買ったところで、渡すのがいつになるか分からないから、絶対に買えない……」
ベッドの上でゴロゴロしながら、ぶつぶつとごちってしまった。
実は店に赴き、逢いに行ったことが、何度かあったんだけど。高級日本料理店だから、俺みたいな大学生が、ほいほい入れるお店じゃなくて。
しょうがなく店の前で、無意味にウロウロしまくった。あわよくばアンディが、何かの用事で出てこないかなぁと、出待ちをしてみたのだけれど。
そんなに都合よく、ことが運ばないのは世の常――
アンディの声すら、聞くことが出来ず、頭を垂れて毎回、帰るしかなかった。
「あ~あ、今日みたいなイベントのある日なら、すっげぇ忙しいんだろうな」
電話で聞くアンディの声色が、疲れたものに感じ始めてから、こっちから電話をすることを止めたんだ。俺の存在が、余計な負担にならないようにと、配慮した途端、向こうからかかってくる電話の数が増えるなんて。
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