44人が本棚に入れています
本棚に追加
ちょっとした隙にかけているんだろう、コソコソッという感じで、電話が始まる。
『和馬、カズマ……今、大丈夫?』
「うん。そういうお前の方が、大丈夫じゃなさそうだけど」
『それは忙しいから、しょうがないのだ。だけど数馬の声を聞いたら、元気になったぞ。お陰で頑張れそうだ、済まぬな』
その言葉に返事をしようとしたら、プツッと切られてしまうんだ。少しは俺の話くらい、聞いてくれても良さそうなのに。
「困った元王子様だよな、もう!」
イライラしながら、傍に置いてあったスマホを手に取った途端、軽快なメロディが部屋の中に響いた。流れるメロディで、電話の相手が誰か分かっているけど、わざわざ確認しちゃうのは、ディスプレィに表示される、アンディの顔が見たかったから。
「もしもしっ!」
『もしもし和馬ぁ! 聞いて喜べ! 半日だけだが、自由な時間が出来たのだ。今直ぐに、駅前のロータリー前に来てくれ』
「はぁっ!? 駅前のロータリーって?」
『デートなのだ。傍にあるショッピングモールを、一緒に見て回ろう。待っているぞ』
最初のコメントを投稿しよう!