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毎日通う内に、表情が変わっていくのが分かった。最初は見ているだけで、幸せになってしまうような笑みを浮かべて、静かに寝ているのに。
俺がお見舞いしている時間、時々苦しげな表情を浮かべ、額に汗をかいたりしたんだ。
――何か夢を、見ているのだろうか?
それを何とかしたくて、返事の返ってこないアンディに、ひたすら話しかけてみた。代われるものなら、代わってやりたいって、あのときどんなに思ったか。
そんなある日、アンディのベッドの傍で、宿題をしている内に、ついウトウトしてしまい、寝てしまった俺に、誰かが話しかけてきた。
『和馬……和馬……』
遠くから、語りかけられているような、とても小さな声。だけど聞き覚えのあるそれに、ちゃんと答えなきゃって、眠い目を擦って、顔を上げたら。
『……和馬、相変わらず眠り姫なんだな』
青いガラス玉のキレイな瞳が、俺のことをしっかりと捉えていた。俺の大好きな、アンディの青い瞳が――
嬉しくて、泣きだしそうになりながら、ナースコールを押したっけ。
「アンディが……アンドリュー王子が、目を覚ましました。大至急来て下さいっ!」
大きな声で言い放ちながら、頭の片隅で考えたんだ。
これから俺は、どうなっていくのだろう。どうすれば、お前を守れるくらい、強い男になれるのだろうかと――
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