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父親である王様からお許しを受け、指導を受けていた板前のツテを使い、老舗の日本料理専門店に、コッソリと潜り込むもとい、修行することになったアンディ。
同じ日本にいられることに、俺としては、すっごく嬉しかったんだ。
太平洋を隔てて、ずーっと遠距離恋愛をしていた期間が長かったからこそ、おんなじ国にいられることに、喜びを感じて止まなかった。
手を伸ばせば、触れられる距離にいる。逢いたい時に、逢えると思っていたのに――
『ああ、和馬。どうしたのだ?』
「えっと……その、お前の休みって、いつなんだろうって。ちょっとでもいいから、逢いたいなと思ってさ」
『済まぬ。下っ端は、たくさん勉強することが多くてな。それに先輩方のお世話もあって、息つく暇もない状態なのだ。もう少ししたら多分、落ち着くと思うから、それまで待っていてくれ』
「でっ、でもさ、ちょっとでもいいから、顔を出せないか? 逢いたいんだけど」
『無理なのだ。今、逢ってしまったら間違いなく、堕落してしまう恐れがある。それだけは、どうしても避けたいのでな。我慢してくれ、愛してるから』
そして俺の返事を待たず、切られてしまう電話に、落胆の色を隠せなかった。
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