3章

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サイド結城イサコ  結城イサコは休憩時間に警視庁を抜け出して、近場の駐車場にやってきた。  赤石と桃磨がすでに来ている。  イサコは車の後部座席に乗り込んだ。 「お久しぶりです。イサコ刑事」  桃磨は相変わらずイサコさんとは呼ばない。 「イサコ。合同調査は大丈夫なのか?」  赤石も相変わらず煙草を吹かしていた。 「捜査は非公開です。それよりも無冠の流星が仕掛けてきたゲームのほうです。進展はありましたか?」  イサコは鞄から印刷した資料を取り出して赤石に渡した。  桃磨にも資料を渡そうとしたがやんわりと拒否された。 「要らないの? 桃磨君」 「無冠の流星は僕に絡まれるのが嫌なんだと思います。僕もやつに絡むのは嫌なんです」 「そうなの」 「はい。ですからお二人でどうぞ。僕は黙っていますので」  イサコは押し返された資料を手にする。  桃磨がシートに体重を預けるとわずかに軋んだ。 「とりあえず。書いてある通り。平沢ユウには失踪届けが出ています」  イサコは資料を読み上げた。
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