序章

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 イサコにメールを打とうとして止めた。これにもなにか裏があるような気がしてならなかったのだ。桃磨は無言で画面を見詰めていた。  無冠の流星の考えなど知りたくもなかった。知ったところでなにかが起きるだけだ。  桃磨はスマホを弄る。いつの間にか入っていたメールに気が付く。メールを開くとそこには無冠の流星からのメッセージが数行現れた。 ――親愛なるピンキーへ。 ――旅館にちりばめられた無作為の悪意をいくつ見付けることができるかな? ――囁く氷刀の威力はいかほどの力をみせるのだろう。 ――無冠の流星  桃磨は立ち上がり、休憩スペースを見渡した。  老人が三人。女性が三人。家族連れが二組、男が四人。  休憩スペースに入った時より人数が減っている。注意深く辺りを探る。  桃磨の心臓が無駄に煽られた。
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