序章

3/26
前へ
/221ページ
次へ
 本を伏せて席を立ち受話器を取る。 「あ、もしもし。桃磨君?」  結城イサコの声がした。赤石ではないという直感は素晴らしい。二年前よりかなり磨かれていた。 「イサコ刑事。御無沙汰しております。赤石さんは今お風呂に入っています。急ぎですか?」 「急ぎじゃなければ連絡なんてしないわよ。わかった。今から行くから赤石さんが寝ないように止めておいてくれる?」 「良いですよ。わかりました。雨が降っているので気を付けてください。路面が滑りやすくなっています」 「相変わらずね。でもありがとう。なるべく安全運転で行くわ」
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加