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本を伏せて席を立ち受話器を取る。
「あ、もしもし。桃磨君?」
結城イサコの声がした。赤石ではないという直感は素晴らしい。二年前よりかなり磨かれていた。
「イサコ刑事。御無沙汰しております。赤石さんは今お風呂に入っています。急ぎですか?」
「急ぎじゃなければ連絡なんてしないわよ。わかった。今から行くから赤石さんが寝ないように止めておいてくれる?」
「良いですよ。わかりました。雨が降っているので気を付けてください。路面が滑りやすくなっています」
「相変わらずね。でもありがとう。なるべく安全運転で行くわ」
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