1章

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 二人が知っているのはルールを破ったときのみのことだ。  件の無冠の流星からの連絡は仙台に入って直ぐに届いた。  無冠の流星がどのように赤石や桃磨のアドレスを知ったのか気味が悪かった。  その他にもかなりの疑問が赤石の頭を渦巻いている。  まず、無冠の流星の行動だ。メールでの指示が多く、実際に警察沙汰になるような事件には発展していない。  何時もなら、そろそろ遺体が、爆発物が、麻薬の取引が、誘拐がと事件に遭遇するのだがそれもない。  ヤンデレ正直の幻影を見ることも狙われている感覚もない。  赤石は旅館を歩き回る。  これではまるで旅館の散歩であった。  旅館に宿泊する客を見ても険悪な雰囲気はないし、スタッフも和気藹々とした居心地の良い空間が続いている。  赤石はフロントまでやって来て受付嬢に近付いた。 「すいません。萩野間の赤石圭吾です。知り合いから荷物が届く予定だったんですがなにか届いていませんか?」 「赤石様ですね。少々お待ちくださいませ」  受付嬢が奥へと引っ込んだ。カウンターの向こうには幾つか届け物が見えた。暫く待つ内に三人の客が部屋に案内された。
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