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赤石が資料を読み終えた頃には昼の三時を過ぎていた。
過去の資料は数頁に渡っている。
この旅館で起きた放火事件が今回の鍵であった。
赤石には宿泊者名簿を観る権利はない。
完全に足と客を見ての判断をしなければならない事態にある。
しかし、フロントから廊下、休憩スペースに風呂場、ラウンジと幅広い建物の中で資料に纏わる客を判断するには些か時間が足りない気もする。
旅館に何人が泊まっているのだろうか。昨日も考えていたが暫定だ。出入りする業者までを入れるとかなりの数になる。
「……最後は断崖絶壁で答えあわせか?」
無冠の流星の目的が見えない。
目的が見えない殺意や悪意は恐ろしい。
赤石は部屋に戻ることにした。ラウンジに資料を持って籠る時間が惜しい。それに大体の概要は頭に入っていてもそこから先の選別に少々の不安があった。
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