1章

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 だからと言って下手に事件を起こされても困る。  赤石は部屋に戻ると資料を直ぐに鞄に突っ込んだ。  そのあとも盗聴機を探したり、監視カメラを探したりしたのだが部屋にその類いの仕掛けを見付けることはできなかった。  これでは捜査が暗礁に乗り上げたのと同じだ。  ヒントめいたことは先程の資料なのだろう。  そうしてこの事件の背景で無冠の流星がなにを考えているかさっぱりわからなかった。  赤石は事件が起きないこの旅館で今までにない気分を味わっている。  言い様のない腹立たしさに悩んでいる赤石にイサコから連絡が入った。  しかし、赤石はそれに応じない。  無冠の流星からだけの連絡に絞るつもりであった。  無冠の流星が何を考えているのかわからない以上、赤石は安易な推測は止めることにした。
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