1章

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 けれども今回は禁じ手だ。 (あいつが何を考えているかわからない以上、言うことを利くしかない……わけだろ?)  赤石は呪うように唱えた。  相手である無冠の流星は、幾度となく人を操り事件を起こしている。  赤石が刑事を辞めた原因も無冠の流星が絡んでいた。  組織にいては無冠の流星を捕まえることはできない。  その結論を赤石に見出ださせたのは、二年前の真冬だった。  大きな事件があった。  赤石は「雨音事件」と勝手に呼んでいる。他にも呼びようがあったのだろうが赤石はそれで十分であった。  雨音事件は無冠の流星が仕出かした中でも最悪の結末が用意されていた。  犯人が死んでしまうのだ。  無冠の流星に遊ばれ、最終的に死亡する。無冠の流星は手を下さずに人を操り翻弄できることを警察組織に叩き付けた。
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