1章

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 赤石は渡り廊下を進み、先ほどの女が眺めていた庭を見た。  何かがあるわけではないようだ。  風流な景色があり、岩には苔が生えていた。  赤石は火事のことを思い直す。日付、状況、火災の原因をあの受付はあいまいに語った。そして溢れたのは火事のあとに住み着いた白川コズエのことであった。  白川コズエが先ほどの女だろうか。痩せた手足に白い肌と乱れぎみの髪の毛に浴衣姿。年は三十後半というからあの女で間違いないような気もした。  赤石は桃磨が気になった。だめもとで電話をすると呼び出し音三回目で桃磨が出た。 …
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