1章

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サイド 如月桃磨  旅館から抜け出した桃磨は予定通りに青葉城に居た。  青葉城に移された伊達政宗像を前に写真を何枚か収める。  東日本大震災の時に崩落した石垣の修理も終わった青葉城跡地には暇潰しの客と観光客が入り乱れる。  如月桃磨はひとしきり青葉城を眺めたあとにどうにも事件の進みが気になっていた。  無冠の流星は推理をするなと言っていたのだがどうにも癪に障る。 (僕に解かせたくない理由でもあるのでしょうか。それともなにか不都合でも?)  なにやら考えが煮詰まった桃磨はこの問いを数時間繰り返している。  お陰で周りの景色が頭に入ってこなかった。  青葉城を早々にあとにし喫茶店に潜り込んで珈琲一杯で粘ること数分、ついに痺れを切らして赤石に連絡をした。  午後三時のことだった。
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