1章

21/34

22人が本棚に入れています
本棚に追加
/221ページ
「その辺を歩いています。青葉城跡はみてきましたよ。石垣の石と石の間に振動を和らげるクッションみたいなものを挟んだそうです。江戸時代からは考えられない補強ですよね」 「なるほど。そうだな。また崩れ落ちるよりはやることをやっておいたほうがいいと思うよ」 「明日は水族館に行きます。なるべく旅館には戻らないようにするつもりです」 「ああ、そいつが望ましいよ。無冠の流星に桃磨は必要ないだろうし、無事なら好きに過ごしてくれ」 「赤石さんは煮詰まってはいませんか?」 「まだ大丈夫だよ。下手に情報を洩らして無冠の流星の思い通りに運ぶのも気が引ける。事件のことは俺に任せろ」 「わかりました。ところで母にお土産を買おうと思うのですが」 「土産? 桃磨の母さんに?」 「なにがいいか迷っているんです。あとで写真を送ります。見てもらっていいですか?」 「ああ。良いよ?」 「ありがとうございます。あ、ホットケーキが来たみたいなので、喫茶店に戻りますね」
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加