序章

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「イサコから? 一体なんだ?」 「今から来るそうです」 「今から? 日付回るぞ?」 「事件があったのでしょう。かなり急いでいるようでした」 「そうか。パジャマで出迎えよう。眠いが仕方ない」  赤石がソファに座って、桃磨が片付けようとしていた書籍を開いた。  テレビは今日のニュースを纏めている。  連日悲しい事件が起きる中で水族館でペンギンの赤ちゃんが誕生したという話題は際立っていた。  桃磨は赤石の傍らで携帯を弄る。開いたアプリはクロスワードのアプリだ。質問を読んで答えを打ち込む。最近のアプリの技術進歩は凄まじい。  結城イサコが如月桃磨の自宅を訪れたのはそれから直ぐであった。時計は深夜一時を指そうとしている。雨は幾分小降りになっていたが天気予報では明日の昼まで降り続くと言っていた。
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