1章

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 吹き流しはテレビの特集で観ただけであったが、ぼんぼりの下に取り付けられた和紙の色合い、飾りの豊富さには芸術性が強かったことを覚えている。足の紙はいえばタコやイカの足をぴんと伸ばしたような形をしている。しかし和紙の美しさは見る者を飽きさせない。  ネット交流の場で吹き流しの話をしたがどうやら馴染みのない県があることを知った。説明をしてみたがなかなか伝わらなかったことを思い出した。  アーケードのなかには東京までとは言わないがそれなりに店が並んでいる。カラオケ屋や衣服屋、眼鏡屋、薬局、喫茶店と目に着いた。  仙台は別名杜の都という。その名物であるポプラを探して桃磨はアーケードを出た。  仙台というと街路樹として植えられている印象が強い。ただ時期的に緑色の葉が生い茂る光景を見ることはできそうになかった。ポプラの見事な時期は青葉という名前が似合う春後半から夏にかけてだ。春には青葉祭り、雀躍りと伝統的な祭りが繰り広げられている。  桃磨は道を眺めた。店がいくつも並んでいるのはアーケード内と同じだった。
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