1章

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「赤石さんらしくないね」 「そうですよね。なんだかそう感じます。流星の目的がわかればいいのですが。簡単に尻尾を掴ませるような相手ではありませんからね」 「だから警察も困っているのよ。本当にめんどくさい奴」  イサコが毒づく理由もなんとなくわかる。桃磨も無冠の流星からは解放されたい。毎度毎度、意図不明の動機に悩まされることに疲れそうだった。 「合わない人間はたくさんいるとはいえ、僕と彼の相性は最悪です」 「無理矢理絡みに行く感じがするわ。無駄な時間を潰されそう」 「束縛したがる人とは距離を置きたいです。無理矢理合わせてもろくなことがありませんから。無冠の流星となると寒気がします」 「それもそうね。ところで雑談はいいけれど困ったことになっているとかないよね?」 「今のところ僕は平和を満喫しているつもりです。無冠の流星が気にはなりますが相手が動かない以上は進展を待つしかないと思っています」 「進展ならあったみたいよ?」  イサコが気になることを口にした。  桃磨は物凄く聞きたかったが言葉を呑み込んで我慢した。下手な入れ知恵ではないが、情報を得ると考えたくなってしまう。桃磨は一息ついて無難な返答を探す。
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