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「さっき、危うく聞き返すところでしたよ。まさかそれも無冠の流星の指示ではないでしょうね?」
「まさか。そんなことないわよ」
「もし、無冠の流星から連絡があったら言い返しておいてください」
「え、なにを?」
「作品に僕を組み込まないでくださいと」
「無冠の流星は作品を作りたいというの?」
「そうです。無冠の流星は作品を生産することが生き甲斐です。そのためには手段を選びません。けれどもそのときそのときの動機はまるで違います。今回僕に推理をさせなるなというのは大きなメッセージだと思います」
「そうすることで無冠の流星になんの利益があるというの?」
「僕らにはわからない優越とか虚しさだと思っています。とにかくよろしくお願いします」
「あまり連絡来て欲しくはないのだけど。桃磨君。無理は禁物よ」
「イサコさんもです。僕はお土産を買って旅館に戻ります」
「ええ。じゃあまたね」
イサコが携帯を切る。桃磨は深く息を吐いた。暗くなり始めた空かぽつぽつと雨が振り出した。生憎折り畳み傘など持ち合わせてはいない。
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