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高速で流れてくるのは異常な記憶はパズルだ。
恐怖も喜びも一気に押し寄せてくる。
単純に考えていいはずの世界は桃磨を苦しめるだけだった。
溢れた記憶が逃げ場を探す。そのとき桃磨の心を傷付けていく。虚しさが蔓延していく。いつか諦めて時間が過ぎていく。声に出す方法を知らずに心に蓄積される悲壮感に浸るときいつだってそこには失笑がある。
桃磨は無理矢理目を開く。
周りの景色を今居る相手を認識しない。
過ぎ去る人間を無視して桃磨は溜め息を吐き捨てた。
松島駅で降りて、タクシーで旅館に戻る頃には夜の九時になっていた。
赤石用の土産を手に部屋に戻ると中居によって布団が敷かれていた。
雨は止んでいた。俄か雨だったのだ。
少し髪が湿っている。タクシーを待つうちに雨を浴びた。風呂で使うタオルケットで髪を拭いた。
「桃磨。お帰り」
赤石が部屋に入ってきた。
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