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「ただいまです。お土産です」
「ああ、サンキュ」
赤石が紙袋を受け取った。
「変わりはないようですね」
「ないんだな。これが」
赤石が肩を竦めた。風呂上がりなのか浴衣であった。
「盗聴もなし、ハッキングもなし。動き、なし」
「連絡も誘導も?」
「ない」
「気味悪いですね」
「気味悪いを通りこして悲しくなるね。今までの手口とは違うんだな」
「遊びに巻き込まれた僕たちはただの駒ですからね」
「ほかに駒があるとしたら?」
「推理せずにそこに到達するのは無理な話です」
桃磨はタオルケットを戻して上着を衣紋掛けに片付ける。
「だよな。俺は桃磨に情報を渡していない。それで関係者を割り出されたら驚きだ」
「そうですよ。情報はおろかまったく考えていないので御手上げなんですよ」
桃磨は布団に座り込んだ。
「チェスにするか? 将棋にするか?」
「将棋にしましょう。青葉城を見ていたら武将のことを考えたくなりました」
「本当か?」
赤石がバックから将棋板を抜き出した。
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