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「こんばんは。お久しぶり。桃磨君」
黒い車体を中庭に滑り込ませ、真っ赤なスーツに不似合いな紺の傘を挿して結城イサコが玄関先で言った。
イサコを出迎えた桃磨は直ぐに中へ上がるよう告げた。
桃磨はイサコを居間に連れてくる。
「久しぶり。イサコ。何があったんだ?」
ソファに座っていた赤石が振り替えるとイサコが赤石に駆けよった。
「赤石さん! 聞いてください。難事件です」
「あの、赤石さん、イサコ刑事。僕はお風呂に入って来ますね」
桃磨は居間を脱け出した。話は後から聞けば良い。
それよりも今は風呂に入ってしまいたかった。
明日は土曜日で学校の心配もない。それに両親も海外に居るので何かあったとしても騒ぐ者はいないのだ。
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