2章

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サイド 結城イサコ  深夜のことであった。イサコは仕事から帰って実家が経営するホテルの一室に入った。刑事として生活するにあたり、寮が用意されているのだがイサコは実家を利用している。実家のホテルの一室はイサコ専用だ。すでに部屋とかしている。職権濫用などではなくきっちりその部屋に住んでいるのだ。  ホテルならば実家に戻るより早く、現場に向かうことができる。宿泊費も家賃と変わらない。光熱費はただ同然だ。クローゼットもそれなりに広い。掃除も入ってもらっている。住むには最適の環境であった。  結城イサコは警視庁の犯罪対策本部に配属された。犯罪対策本部はありとあらゆる事件を担当する特殊部隊だ。以前は一課の殺人課にいたのだが赤石が辞めて以降、部署替えを申し出た。赤石と連れだっていた時間が長かったせいだろう。周囲の環境に耐えられなかったことが原因でもあった。気が抜けたのだ。 「ばか……」  イサコはシャワーを浴びて衣服を整えるとベッドに倒れた。  赤石と桃磨に割って入ることがイサコには難しかった。  以前も今も二人には近寄ることができない。
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