2章

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「いろいろあるわね。あの旅館」  他にも「火災は女将と客の不倫が原因?」「従業員は刑務所あがり!」など旅館の裏側を扱った記事が山ほど出てきた。 「矢幅ホノリには話を聞きたいところだわ」  イサコは赤石のパソコンに記事のアクセスコードを送りつける。  その上で赤石に電話をした。 「赤石さんの携帯です」 「桃磨君、赤石さんいないの?」 「居るには居るんですが不貞腐れています」 「なんでまた?」  イサコは椅子の背もたれに体重を預けた。 「将棋をしていたんですが、僕が圧勝したことが気に食わなかったみたいで、お布団に潜り込んだまま不貞腐れ……」  桃磨の言葉が途中で途切れた。 「桃磨、ちょっと黙ってろな? あ、イサコ。なにか動きがあったか?」  桃磨の変わりに赤石の声が流れた。 「不貞腐れていたんじゃないんですか?」  イサコは笑いながら言った。 「勝つ方法を考えていたんだ。不貞腐れてなんかいないよ」  赤石がむきになっていい放ってくる。 「そういうことにしておきます。赤石さんのパソコンにデータ送りましたよ。確認してください」 「わかった。桃磨。立ち上げてくれ」
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