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「いろいろあるわね。あの旅館」
他にも「火災は女将と客の不倫が原因?」「従業員は刑務所あがり!」など旅館の裏側を扱った記事が山ほど出てきた。
「矢幅ホノリには話を聞きたいところだわ」
イサコは赤石のパソコンに記事のアクセスコードを送りつける。
その上で赤石に電話をした。
「赤石さんの携帯です」
「桃磨君、赤石さんいないの?」
「居るには居るんですが不貞腐れています」
「なんでまた?」
イサコは椅子の背もたれに体重を預けた。
「将棋をしていたんですが、僕が圧勝したことが気に食わなかったみたいで、お布団に潜り込んだまま不貞腐れ……」
桃磨の言葉が途中で途切れた。
「桃磨、ちょっと黙ってろな? あ、イサコ。なにか動きがあったか?」
桃磨の変わりに赤石の声が流れた。
「不貞腐れていたんじゃないんですか?」
イサコは笑いながら言った。
「勝つ方法を考えていたんだ。不貞腐れてなんかいないよ」
赤石がむきになっていい放ってくる。
「そういうことにしておきます。赤石さんのパソコンにデータ送りましたよ。確認してください」
「わかった。桃磨。立ち上げてくれ」
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