序章

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 何時もならああでもないこうでもないと屁理屈を述べる桃磨だったが無冠の流星という響きに身構える。 「わかりました。彼奴が動くなら学校も休みます」  桃磨は即断即決すると出発の準備に取り掛かった。  それから数時間後には赤石が運転するワンボックスカーで仙台に入った。  桃磨にしてみれば仙台という場所は余りにも事件遭遇率が高い場所だ。  なんの因果かは桃磨にも予測できない。あるとすれば伊達政宗となんらかの因縁があったということだけでそれ以上は呪いなのだと思うことにした。  ワンボックスカーは、仙台市内を通る四十五号線を走り抜けると仙台駅で一度停車した。  楽天イーグルの球場用に整備された駐車場にワンボックスカーを停めて、外に出る。  仙台駅の裏側にはバスプールやタクシープールが設けられていた。ヨドバシカメラも駅に隣接してある。もっとも桃磨も赤石もそれらには興味がない。  現在、昼間だ。夜の二時に出発して休憩を挟みながらやっと着いた仙台は春雨のおかげで滲んで見えた。
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