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「お前の彼女の友達にさ、沢田桃子ちゃんっているだろ?」
「…ん?あぁ、沢田ね。いる。」
いるいる。小さくてフワフワしてる女子。
「あの子さ…実はさ…」
なんだ?好きなのか?
「俺の、彼女なの!」
「え!まじで!」
うわー言っちゃったーとばかりに照れて浮かれる有田くん。
…こいつ、乙女か。
しかし、好きどころかもう付き合っているとは…
「でも、まだ付き合って少しだし、周りの奴には言うなよ!」
「え、なんで?秘密の付き合いなの?」
「そういう訳じゃないんだけど~…ほら、彼女恥ずかしがり屋で奥手な感じでさ。俺ら付き合って一週間経つけど、まだ手も繋げてないの!そんな子だからさ、周りから冷やかされるの嫌だろうなーって…」
モジモジしてるお前の方が恥ずかしがり屋で奥手に見えるけど。
「で、頼みってなんだよ?」
「あのさ、俺らとダブルデートしてくんない!?」
…どうやら略すとこんなことらしい。
手もつなげないほど初々しい2人だが、有田はそろそろ恋人らしーいことをしたい。
だが、その一歩がどうしても踏み出せない。
ベッタベタくっついてる俺らカップルとデートすれば、その雰囲気に刺激されて、自分たちも自然と手がつなげるのではないか…という作戦らしい。
…ほう、なるほど。
偽カップルの俺らから恋人らしい雰囲気が出るかは分からないが、確かに俺たちはかなりベッタベタとスキンシップをとっている…
正しくは、一方的にとられているわけで。
それを見慣れれば、2人も手をつなぐことへのハードルは下がるかも…しれない。
まぁ、一理あるかな。
「とりあえず、あいつに言ってみるわ。」
「ありがとうーーー!!よろしく伝えてくれよ!」
有田は晴れ晴れとした笑顔で去って行った。
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