興味深くー1ー

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興味深くー1ー

抜けるような、蒼。 筋を作る、白。 鳴るは落ちゆく、乾いた葉の()(くだ)りの石段に足を掛けた鐘里(しゅり)は、清々しい顔で()を止めた。 見慣れた店と川を前に大きく伸びをすると、新鮮な空気と共に、色づき始めた景色が体中に浸透してくる。 数日経っても目を閉じれば鮮やかに甦る、彼の温かさ、匂い、抱きしめる力強さ。 何て素敵な日だったんだろう。 河童が喋っていたことも、何故あの場所に迷いこんだのかも、どうだって良かった。 今までろくろく、会話すら成り立たなかった夫婦にとって、怒鳴られたことさえ、二人を近づけた大きな一歩だったから。 運命の出会いを果たしたあの日から、こんな日が来るなんて誰が想像していたであろう。 いや、自分はしていた。 想像、ではなく、妄想、だが。 この場所は、いつもきっかけになる。 そう、あの日も、こんな風にとても良い天気だった。
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