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学校のロッカーにマフラーを忘れてきた私の鈍臭さを彼氏様が愉しそうに笑って、彼の温もりを残したマフラーが冷えた私の首にぐるぐる巻かれた。
ふわりと漂う彼の香りに少し恥ずかしくなる。前からじゃなくて後ろから首に腕を回して抱き締められる感じによく似てて、トクトクと足早に流れる血液がじわじわと頬っぺたに集まって熱がこもる。
A「ありがとう。いいの?」
B「いいよ。別に親切心じゃないし」
A「え」
驚きの言葉を紡ぐ声は、互いの存在を確かめるだけの優しいキスに掻き消される。
リップ音一つ立てずに静かに離れた唇とヘラリと緩く笑った彼。
B「残り香期待してんの。家帰っても俺のこと思い出して赤くなりますようにって」
魔法かけといた。と唇をなぞる指から逃げるようにマフラーに口元を埋めてみる。
ぐんと深くなった彼の香りにドキドキが増して頭から離れなくなりそうで、彼の魔法はきっと消えない、なんて確信。
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