再び、この地へ

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「此処が全寮制の学校か」 無駄に大きな学校、葉桜男子高校に俺は入学した。周りには俺と同じ真新しい制服に身を包んだ男子達が門を潜る。 俺、宮下 來(ミヤシタ ライ)は再びこの地に戻ってきた。と言っても親戚の人に教えられた。此処は俺が生まれ育った街だと言うこと。 中学2年までは此処に住んでいたらしい。けど俺には記憶がない。医師には記憶喪失だと言われた。何があったのか皆教えてくれない。困った顔をするだけ。 「おはようございます」 俺も門を潜り、貼り紙の前に足を止める。 「1―Aか」 自分のクラスを確認をして体育館に向かう。だけど俺の足は止まった。 「來だよな?覚えてる?中学の時、仲の良かった飯嶋 伊織(イイジマ イオリ)」 誰だ、こいつ。 「すみませんが、分かりません」 俺がそう言うと目を見開く。 「え、はっ?嘘だろ?」 「俺には記憶がないんで。すみません」 相手に謝り体育館に行く。中学の時に俺には仲の良かった奴なんか居たか?
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